6月11日 *repo* arai
奇跡の尺ラッシュ!
今回我々がお世話になったペンション「さんりんしゃ」は、この地域を訪れるFFMにとって、食事時間など、
わがままを快く受け止めてくれる、ありがたい宿です。(昨夜は遅くまでありがとうございました)
ここに泊まるのは約10年ぶりでしたが、その自然に囲まれた素敵なたたずまいも、オーナーご夫妻の温かいもてなしも、
そしてテーブルいっぱいに並ぶ料理のおいしさも、すべてがそのままでした。その、あまりの居心地のよさに、
今朝はゆっくりと出発です。
1年ぶりに訪れる秋田の渓… …林道入り口のコンビニで釣り券を買ったときから、神さんも菊ちゃんも、
心にはあの「パラダイス」がよみがえっていたに違いありません。
実は数日前、その「パラダイス」を求めて、別の仲間が何組か入渓しています。残念ながら不順な天候に悩まされ、
思うような釣りができなかったそうです。
でも今日は、幸い、初夏の、抜けるような青空が広がっています。そして、さらにラッキーなことに、
車が1台も見られません。(ふふ、読みが正解だったかな…)
S沢出合いで二手に分かれ、順坊とペアを組んだ私は、上流へと釣り上がります。
まずは、この川が初めての順坊に最初の一匹を釣ってもらおうと、一つ目のポイントでじっくりとアドバイスを… …
@魚は思いがけないほど浅瀬にいること。
Aよく見ていると魚影が確認できる(こともある)こと。
Bそして釣るためには、できるだけ遠くから、慎重にアプローチすること。
……けれど、そんな老婆心は不要だったようです。
なんと、いきなりヒット! しかもかなりデカイです! 何度かのされそうになりながらも慎重に寄せてきます。
そうして、ようやくネットに納めます。お見事! 差し出す手に、がっちりと応える握手!
その瞬間の、順坊の輝くような笑顔がなんとも印象的でした。
釣り上げてみれば、31cmの大岩魚! なんと、最初の一匹がいきなり尺越えです!。
尺岩魚を写真に収める順坊を見ながら、「えっ? たしかFFを始めて数年って言ってたけど、本当!?
恐れ入りました〜!!うーん、末恐ろしい逸材かもしれません。」
快調にスタートを切った順坊は、その後も着実に釣り上げていきます。
すっかりペースをつかんだ順坊と交互に先行することにし、ほどなく行ったところで私の番、いかにも居そうなポイントです。
でかいのが着くとすれば、対岸の深みの反転流に違いありません。ところが、手前には速い流れがあり、
しかも、嫌らしい所に木の枝や倒木が差し込んでいます。
いつもより長めに設定した 5Xのティペットを再度確認し、ロイヤルコーチマンP#10を結びます。距離をとり、
ひざまずき、たっぷりとスラックを入れてキャスト!
反転流の泡に混じってしばらく漂っていたウイングポストのオレンジが一瞬、消えます…。
すかさず合わせを入れると、乗った! ずしりと重たい手応えに、無意識のうちに、左手でラインを手繰りながら、
足は猛然と駆け寄っています。まずい! 木の中に潜り込まれたら終わりだ!
魚は強い流れに乗って、行って欲しくない方へと突っ走ろうとします。ロッド Nagasawa#2が満月のようにしなります。
どうにか倒木への突込みをかわし、あとは満月を矯めたまま、魚を浅瀬へとずり上げます。でっ、でかい!!
ネットを差し出した瞬間、思わずひるんでしまいました。
呼吸を整え、メジャーを当てると、なんと34,5cmです。
この川の自然の過酷さをうかがわせる、がっしりといかつい頭と大きく張り出した胸びれ。
アメマスを思わせる東北岩魚特有の白い大きな斑紋。
そして、大きくピンと張った半透明の尾びれ。
駆け寄ってきてくれた順坊と、しばし感動を共にします。
昼過ぎ、川は今まで以上に活気付いてきたようです。何気ない瀬の、何気ない流れの中から、岩魚たちが出てきてくれます。
まるで、底石の一つ一つに魚が着いているかのように。
「これがしたかったんだぁー!」という順坊のリクエストで、ネットの中にはお父さん・お母さん・そしてボクちゃんの
3人家族です。
一方その頃、下流組みの神さん・菊ちゃんペアはといえば、……やはりやっていました。
みんな同じようなこと考えるんですね。
でも、下流組みは、尺上 2本の揃い踏みです!一つの淵で、菊ちゃん神さん一本ずつ釣ったそうです。
後で聞けば、深い淵の岩盤沿いの流れの下に、まるで縦一列に並んで、下流から順にフライに反応してくれたそうです。
決して大きくはないその淵だけで一時間近く、終わってみれば、次々と繰り返されるライズを仕留めて、
計6匹も釣ったそうです。しかもそのうち2本が尺上だったとか。うーん、恐るべし!!
上流組みも、その後、同じような反転流の中を私が狙うと、出てくれました!ジャスト30cm の、少し色黒の、
尾びれに傷跡の残る岩魚です。
そして、タイムアップ直前、やってくれたのは、またも順坊です! 「絶対に居る」と信じて、
しつこく狙い続けた対岸の反転流から、見事、30.5cmの美形岩魚を引き出してくれました。フッキングの直後、
一気に下の淵まで走られた魚に、思わずスリップ&沈しながらも、しっかりランディングまで持ち込んだ根性はさすがです!
「うーん、今日一日の釣りを、尺で始めて尺で締めくくるとは! やはり、このNewFace、末恐ろしい逸材かもしれません!」
合流後は、しばし、堰堤下のプールで入れ食い(?)を楽しみました。
昨年のような「35cm」は出ませんでした。そう言えば、誰も、あの「反転流」だけは狙わなかったみたいです。
あれは、次週来られる予定のkiyoさんへの心遣いだったのでしょうか……。
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