6月12日 *repo* arai
東北遠征最終日 昨日の奇跡再び・・・。
昨夜は、途中温泉に立ち寄ったりで、宿に戻ったのが8時過ぎ。それでも、オーナーご夫妻は、そんな我々を、
温かい夕食で迎えてくれました。それがまた本当に美味しいのです。神さん曰く「レストラン以上だよね!」
おかげで、夕べも遅くまでダイニングで盛り上がり、すっかりくつろいでしまいました。
食後、ベランダから見上げた、満天の星空も忘れられません。
さわやかに目覚めれば、今日も快晴!
ベランダからは、木立の向こうに秋田駒ケ岳のたおやかな稜線がくっきりと見えます。
楽しい時間は過ぎるのも早いもので、今日は最終日です。
さて、どこに行きましょうか …? K川、S川、R川…、この近くだけでも魅力的な渓流が目白押しです。
しかも、オーナーのお話では、どこも好調らしいです。
けれど、そんな提案を持ちかけるまでもなく、メンバーは皆、今日もまたあの渓流に行きたがっていることが、
空気で伝わってきます。(とても逆らえそうな雰囲気ではありません…汗)
――林道には、すでに車が 3台も止まっています。先行者アリ…、でも考えれば、昨日のように一台もないことのほうが、
この時期この川では珍しいのです。
ペアを入れ替えて、今日は菊ちゃんと一緒です。
良いポイントが続きます。けれど今ひとつ反応が悪いのは、まだ時間が早いせいでしょうか?
それとも、水位が落ちたせい? たった一日で、大きく減水しているのがわかります。
それでも、ポイントの一つ一つを大切に、慎重にアプローチしていくと、24p〜28p位の岩魚が、
きっちりとそれに応えてくれます。
それにしても菊ちゃん、またしても腕を上げましたね! タイトなループで長距離からスラック・キャストを決めるところなど、
誰かさんにそっくりです。(なーんて話をしていたら、離れたところで、神さんがくしゃみをしていました。(笑))
その頃、神さん・順坊ペアは、快調に数を稼いでいました。瀬の開きや小さな落ち込みの肩などから好反応が続きます。
まるで、昨日まで淵に固まっていた魚たちが、一斉に瀬の中に散らばっていったかのようだと言います。
岩魚クンのお腹の中を失礼すると、出てきたのはブナムシ。他に、早くもコガネムシなども見られました。
この時期、この渓流では、インセクトグリーンをボディーにしたパターンや、獣毛やピーコックハールを用いた、
黒っぽい、大き目のテレストリアル・パターンが大活躍です。
ふと、私の耳に、かすかな鈴の音が聞こえてきます。ん? まさか…?(冷汗)
見ると上流からFFMが下ってくるではありませんか! (今ひとつ反応が良くなかったのは、この先行者のせいだったようです。)
言葉を交わすと、早朝から入り、かなり上流部まで遡行してきたとのこと。
けれど、尺は見られず、(特に上は)小さいのが多かったとのこと。そして、竿抜けはたくさんあるから
(自分の後でも)大丈夫でしょう、とのこと。(……ん、ん?)
……それにしてもこの人、よくぞ単独で、上流まで遡行してきましたねえ! 熊よけスプレーは一応持っておられたようですが。
釣りを再開して、まもなくです、菊ちゃんが尺岩魚を釣り上げたのは!
そこは、昨日私が尺岩魚を釣ったまさに同じポイントです。菊ちゃんの手の中の魚を、ファインダー越しに覗くと…、あれっ?
この魚? …うん、間違いありません。なんと、私が昨日釣った、まさに同じ魚です。 えっ、なんでわかるのかって?
ほら、この尾びれの傷…。 試しにメジャーを当ててみると、ほら、ジャスト30p!
ちなみにこちらが、昨日私が釣った魚です。
おおらかですねぇ〜。この微笑ましさも、東北岩魚の魅力だったりします。
続いて、菊ちゃんが、小さな、まさに竿抜けのポイントから、ひれの大きな32pを追加します。
そこは、対岸際のピンスポットで、でもよく見れば、ここしかないって場所で、よくぞ見逃さずに引き出してくれました。
菊ちゃん、お見事!
(実はそこ、先行していた私が、すでに歩いたあとだったのです……。完全に見落としておりました。(汗))
うーん、今日も満足。
先行者の後を追いかけてしまったといいながら、終わってみれば、しっかり数も型も揃えておりました。
(へへ、竿抜け、たしかに多かったみたいです、アリガトウゴザイマシタ(笑))
神さん・順坊ペアも、顔を合わせた瞬間に、すぐに良い釣りを満喫してきたことがわかりました。
先行者の影響も受けず、おおらかな釣りが続いたそうです。もはやNewFaceなんて呼んでいられない順坊も、
今日一日、神さんと組んで、きっとたくさんの貴重な経験ができたのではないでしょうか。
今年もまた、たくさんの美しい魚たちに会えました。そして、たくさんのいい顔に会えました。
そして、改めて想います。この豊かな森とさかなとを、いつまでも大切にしていきたいと――。
車に乗り込み、思い出のつまった渓をあとにした我々は、心地よい疲れとともに、安らかに満たされて―――
そう、こんな感じでしょうか?
「バイバイ、シェリー。 また、会おうね!」
「東北病」…… 一度感染したら二度と治癒しない、難病の一種。毎年、初夏が近づくと、
その症状は抑えがたくなる。深夜の高速道路をものともせず、500kmの道のりを「意外と近いね」
などと口にし始めたら末期症状である。重度の場合、そのまま社会復帰できなくなる感染者もいるといわれる。
フライと呼ばれる毛鉤を巻いている時間だけ、わずかに緩和されるらしいが、それが逆に症状を悪化させることにもなるので、
くれぐれも処方には注意したい。
あなたは、だいじょうぶですか…?